みなさんお元気ですか?私は2009年卒の山部晃と申します。
今私は,岡山県立笠岡高等学校に勤務しています。つまり,私の仕事は高校教師です。
皆さんは「教師」と聞くと,どんなイメージをもつでしょうか。「忙しそう…,楽しくなさそう…,なんか堅そう…」と高校生のみなさんは,いろいろなイメージをもっていると思います。私もそうでした。しかし実際に働いてみて感じたことは,イメージ通りの部分(ほんの少し)もあるけれど,とてもやりがいのある仕事だということです。
私の働いている笠岡高校は,今年度で創立116年目を迎える,歴史と伝統のある学校です。古くから「千鳥」の愛称で知られ,岡山県南西部の普通科拠点校として地域の期待や信頼に応えつつ,25,000人に及ぶ人材を世に送り出しています。その卒業生は社会のさまざまな分野で広く活躍しています。私は保健体育科の教師として,全校生徒580名と共に日々生活しています。私の主な仕事は,もちろん授業です。体育と保健の授業を担当しており,生徒の心身の健康について座学や運動を通して教えています。教員は授業だけが仕事だと思っている人も少なくないはずです。しかし,実際の仕事は授業以外にも多くあります。よりよい授業を展開するための授業準備や,学校を教員一人ひとりで支えあって作り上げている校務分掌としての仕事,部活動顧問としての指導・試合の引率など,私が高校生の時には知らなかった仕事を毎日周りの先生方に助けられながらこなしています。
以前,生徒に保健の授業についてのアンケートをとったことがありました。その時,ある生徒のアンケートの自由記述欄に「先生の授業は面白くてわかりやすいけど,どこが大事なのかわかりません」と書いてありました。ハッとしました。私は,作陽高校での教育実習時に学んだ『今,高校生に何を伝えたいのか』ということを疎かにし,楽しさやわかりやすさのみを重視した授業を行っていました。私にとっては数ある授業のうちの一回でも,生徒にとってはそこを学ぶ人生で唯一の機会だったかもしれないのです。興味や関心をひくために楽しさも必要ですが,それだけでは本当に伝えたいことは伝わりません。それにまず私には,教師は生徒の人生を左右する職業だという自覚自体が足りなかったことに気付かされたのです。私はそれ以来,一回の授業をより大切にし,高校生のこの時期になぜ保健を学ぶのかを,常に自問自答しながら準備を進めるようになりました。半年後,その生徒の二回目のアンケートには「前より保健を今後の生活に生かせそうです」と書いてありました。
私は,この職業に就くまで,教師は子供に勉強を教えることが仕事で,そこにやりがいを感じているものだと思っていました。ところがそれだけではありませんでした。現在の私は,「目標に向け努力する生徒と共に成長できること」,「青春の苦楽を共にできること」,「一人の人間を育てられること」にやりがいがあるのだと実感しています。忙しくて遅くまで帰れない日もあります。授業がうまくいかないときもあります。でも生徒が待っていると思うと,どんなに辛くても自然とやる気が出てきます。今では,生徒の人生に関われるこの職業にとても誇りを感じています。